ゾゾスーツ

ゾゾスーツが気になる…

 

ゾゾスーツとは,ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイの創業者,前澤 友作氏と

ニュージーランドのソフトセンサー開発企業との共同開発によって作られた採寸型の

ボディースーツである

 

ゾゾスーツは,身体の寸法を瞬時に採寸することができる伸縮センサーを内蔵しており

採寸者はそのスーツを上下セットで着用し,スマートフォンをかざすだけで計測ができる

 

スタートトゥデイは,「人が服に合わせる時代から,服が人に合わせる時代へ」をうたい文句に

 新しいファッションの世界を築こうとしているようである

 

また,このゾゾスーツは無料ということもあって,昨年11月22日正午の予約受付開始から

10時間後の22時までに,23万件もの注文が入り,現在ゾゾスーツの到着は遅延しているという

 

私も注文してみたいと思ったが,躊躇する点があり,まだ注文するには至っていない(今後注文するかは未定)

それは,究極の個人情報を一企業に提供することへの不安である

 

住所,名前,生年月日,メールアドレス,クレジットカード番号

これらの情報と自分の身体サイズが登録されることになる

 

自分の個人情報が,ファッション目的以外の,何か別の目的のために

利用されるのではないかという不安…そういう人は少なからずいると思う

 

 

興味はあるけど,リスキー

 

 

前澤氏が自身のツイッターに投稿した,安倍総理とのツーショット写真

これを見て,よからぬ想像を巡らせてしまうのは,考えすぎ…?

 

映画『プラチナデータ』は,政府が国民の遺伝子情報を把握しており

DNA捜査システムで犯人を特定するという内容のミステリー作品

東野圭吾の小説を映画化したもので,それを彷彿とさせるとも…

 

 

やはりリスクは負いたくない…

 

 

私は,既に入手して試している人のブログなどから

情報を抽出してみることにした

 

次回につづく…


ZARAが無名デザイナーの作品を盗用し続ける

 

ZARAにデザインを「盗作」されたデザイナーたち,結束して被害を主張

 

 

以下は,記事の要約.

 

 

ZARAが米国ロサンゼルスで活躍している,インディー系デザイナーのチューズデイ・バッセン(Thuesday Bassen)の作品を盗用していたことが発覚.彼女はインスタグラムを通して,「昨年,ZARAは私の作品を盗用し続けていた.」と指摘し,弁護士が同ブランドと損害賠償の交渉をしていることを公にした.

 

それに対して,ZARAからの回答は“彼女はインディ系の一人のデザイナーである.我々は巨大企業で,今回のケースが取り沙汰される程には彼女は充分に知られていない”といった内容だったという.

 

なかなかに,すごい言い分.無名の人間に対しては,こんなに強気な態度で開き直れるものなのか.しかし,こうした騒動がZARAの牙城を揺るがすかというと,そうでもないという.スペインのビジネス・スクールIESE,ペドロ・ヌエノ教授の指摘はこうだ.

 

「消費者の批判と,買う決意には同一性はなく,ブランドメーカーの規模が大きいと,そのインパクトは強烈で,ブランドイメージが確固たるものであるが故に,消費者が買う時には盗作のことなどは考えない.」

 

確かに,これも一理ある.もともと,ファストファッションは真似る=盗作,これは規定路線.この件では,ZARAは指摘された商品をサイトから外しているとのことだが,巨大化した組織と一個人.ZARAにとっては,痛くも痒くもない話しであろう.


ブラジャーについての考察

久しぶりの更新となりました.論文のほうは,まだ執筆中で夏ぐらいまでかかりそうです.H.P休眠中にもかかわらず,お問い合せ下さった方々には心から御礼申し上げます.その中に,ブラジャーのパターン作成を依頼して下さったお客様がいらっしゃいました.

 

私は洋服のパタンナーで下着は未知の領域ですので,どうしようかな?って思ったけれども,3DCADもあるし,興味はあったのでお試しでチャレンジしてみました.それについての考察を,お客様の了解のもとここに掲載します.

 

まず当然ですが,あらためて下着=ブラジャーは全くの別物だということを思い知りました.今回ももちろん,3Dのバーチャルボディを使用して作成しましたが,通常の洋服とは違うので,どのバーチャルボディを使用し,どういうやり方で作成するのか,それを模索するところから始まりました.

 

最初,既存のバーチャルボディを変形させて作ってみましたが,これは失敗.どうしても平らなカップ形状になってしまい,思うような形にはなりませんでした.それで,サイドバーにある上から2番目のリアル人体ボディを使用して作ってみました.

 

このリアル人体ボディは,被験者にブラジャーを付けてもらった状態で,三次元人体計測器でスキャンし作成したボディです.実際はこれを更に変形させて作成しています.この被験者のカップ数はEです.確認のため,作成したパターンを紙で組み立ててみました.

左の絵は,依頼されたデザインです.F70で作成して下さいとのことでした.ブラジャーは全身を覆う洋服とは異なり,身体のごく一部分の狭い範囲をカバーするアイテムです.カップのかたちをどう作るか,それを支えるアンダーバスト部分の仕様をどうするか,その2点に尽きます.

 

カップについては,そのかたちを,お椀型にするのか,富士山型にするのか,或は,お皿型にするのかで,バストの見え方が変わり,付け心地にも差が出ると考えられます.ブラジャーは一見単純に見えますが,女性の乳房はそのかたちや大きさに個人差がある為,セオリーをよく理解しないまま作るのは難しいだろうと思われました.

上記の画像は,ブラデリスの本【ブラの力】からお借りしたものに,私が書き加えました.なぜ,既存のバーチャルボディを使うとダメだったのか.それは,CADに搭載済のボディと言うのは,工業用ボディで,少しゆとりが入っている為,画像の矢印部分つまり,バストトップとアンダーバストの境目がなだらかになっています.その為,平らなカップ形状になってしまったというわけです.

 

もちろん,リアル人体ボディ(ヌード)も,実際よりなだらかになっています.と言うのは,人体をスキャンしてバーチャルボディに変換する際,人体上の小さなデコボコは自動的に除外され,なだらかになるように形成されます.立体裁断などで型出しをする際,ボディが不必要にデコボコしているとやりにくいからです.工業用ボディは下着ではなく洋服を作る為に作られたボディだからです.

 

大学院では胸部の型どりを石膏包帯法で行っています.最もアナログな方法ですが,この方法であればバストトップとアンダーバストの境目をはっきりと模ることが出来ます.しかし,石膏包帯法はとても面倒です.時間もかかり被験者も疲弊します.だからどうしても3DCADを使いたくなるのですが,残念ながら,現状,3DCADで回り寸法を変形出来るのは,首回りとバスト,ウエスト,ヒップだけです.アンダーバストを変形することが出来れば,ブラジャーの形成にも応用出来ると思うのですが…

こちらは,ワコールのウンナナクールのブラジャーです.(画像お借りしてます)ご覧のとおりカップは,ほぼ平らですのでお皿型のブラジャーになります.このお皿型,私も持っているのですが,胸が小さめの人にはおススメです.とてもきれいに谷間ができるので,パットを入れて上げ底するより,断然効果があると思いました.C寄りのBくらいまでの人におススメです.ですが,やはり胸が大きい人は,カップがあった方が収まりがいいかと思います.

 

私が初めてこのブラジャーに出会ったとき,こんなに平らなカップ形状でも谷間を出すことができることに正直驚きました.心情としては,胸が小さい人は大きく見せたいし,反対に胸が大きい人は小さく見せたいと思うのですが,大きい人のブラジャーはどうしても大きすぎるがゆえに,おばさんくさくて可愛くないと思ってしまいます.でも,カップ形状の作り方しだいで見せ方を変えることができる.ブラジャーも奥が深いです.このウンナナクールは逆転の発想でほんとに驚きました.


おもしろい学会

 

“おもしろい学会”でググったら、こんなブログが出てきました。ウィキペディアの“日本の学会一覧”と合わせてみると、正直こんなにいろいろあるとは思いませんでした。学会というと、何かかしこまった敷居の高い感じがしますが、その実、メジャーなものからマイナーなものまで、個性に富んだ様々な学会があるようです。

 

うちの大学院は、学位取得のために「報文」を2本投稿しなければなりませんが、大学や専攻分野によってはもっと多くて、5~6本というところもあるようです。単に、論文投稿といっても、学会や論文にはレベルがあります。なかでも、「報文」は審査が厳しく、アクセプトを取得するのが難しい格調高いモノと言われています。

 

だから、いちパタンナーで、論文とは全く無縁だった私は、論文を書くためのお作法を大学院で勉強しているわけです。「報文」は、素人がいきなり書こうとしてもなかなか書けるものではありません。良き指導教授の下で、修行を積むのがいちばんの近道です。

 

論文の種別には、一般論文、技術論文、ノート、研究速報、レビュー論文などがあり、後述のノート・研究速報・レビュー論文などは、比較的軽めの通りやすい論文と言えます。研究者としては、高いレベルの学会に「報文」を、しかも英文で投稿することが望ましいとされています。

 

毎年のように、日本人の物理学者がノーベル賞を授与されていますが、これは、自己の研究が長いときを経て、世界に認められたという最高の栄誉です。まぁ私は、逆立ちしても、ノーベル賞級の研究者にはなれませんけど、(言うことさえおこがましい。。)身近な課題をテーマに、ささやかな研究を続けていければ本望です。

 

ということで、長い言い訳になりましたが、慣れない論文執筆中のため、MENU2、他の更新が遅れております。誠に申し訳ございません。暫くは、論文執筆のほうに専念したいと思います。既に配信済のMENU1、EXTRA1につきまして、質問等は記事内のコメントまたはメールにて対応させて頂いております。よろしくお願い致します。

 

 

 

 


リオ五輪メダリスト合同会見、公式ジャケットが酷すぎる。

 

17日間に渡るリオオリンピックが終わり、日本は史上最多の41個のメダルを獲得した。それは本当に良かった。大いに楽しませて貰った。だがしかし、今日のメダリスト合同会見のニュース映像をみて唖然とした。あのジャケットは酷い、酷すぎる。誰が作ったのかググったら、高島屋だった。made in Japanが泣くわと思った。

 

公式ジャケットについて、WWD JAPAN.COMによると、デザインはJOCが行った公募によって選ばれ、前回のロンドン五輪に続き製作は大手百貨店の高島屋が製作。ジャケットには軽量のストレッチニット素材、シャツには現地の気温を考慮して吸汗速乾性に優れた素材を使用。渡航用の服は"勝ち色"のネイビーが基調のストライプジャケットとスラックスに、ポロシャツを組み合わせたという。

 

ストライプのジャケットは前回のロンドン五輪でも使われていた。グレーがネイビーに変わっただけ。…のように見えた。デザイン、素材はともかくとして、ニュース映像を見て衝撃を受けたのは、この公式ジャケットが、挨拶するメダリストたちの体型に、全くフィットしていなかったことだ。もちろん、オーダーメイドではないから、仕方ない部分はある。しかし、各競技選手たちの体型を考慮したパターンではないと思った。普通体型のS,M,L,LLくらいのサイズ展開で作られたのではないかと思われた。

 

スポーツ選手の体型は、各競技によって様々。製作側は、なにをおいても、その体型研究を怠ってはならない。今回、いや前回もそうであったが、各選手共通に見られた特徴として、上腕回りがパツパツ、引かれ皺が目立ち、体操の内村航平選手や柔道の選手に至っては、僧帽筋、上腕回りの筋肉の発達が著しいため、醜いたすき皺が見られた。

 

金メダルを獲得したバトミントン選手や卓球の愛ちゃんなどは、普通体型に近いのでそれほど違和感を感じなかったが、(大目に見てだけど…)4年後、東京オリンピックで製作にかかわる人は、まず、各競技選手の体型研究を行い、そのデータからパターン展開を考えて欲しいと強く願う。普通体型のスポーツ選手はいないのだから…。

 

世界の人々が注目する祭典、東京オリンピック。made in Japan が泣かないために。

 

リオデジャネイロ五輪 2016

ロンドン五輪 2012


リオデジャネイロ五輪 2016 凱旋会見YouTube動画より


元気になれるファッション映画(documentary)

私の中で、元気になれるファッション映画と言えば、メリルストリープの「プラダを着た悪魔」。何回見ても飽きない大好きな映画の一つ。「ファッションが教えてくれること」は、「プラダを着た悪魔」の実写版と言ったところ。鬼の編集長、アナ・ウィンターの生の声を聞くことが出来る。

 

「アドバンスト・スタイル」は、ニューヨークの60、70、80、90歳代の普通ではない?お洒落マダムを取材したドキュメンタリー映画。とにかく、老いても決して守りに入ってなくて、寧ろ、攻めの姿勢が際立っているマダムたち。いずれも魅力的で、人生を達観し、自由を謳歌している。

 

「Dior&I」は、2012年4月、ラフ・シモンズが、アーティスティック ディレクターに就任し、初めてのオートクチュールコレクションを発表するまでの舞台裏を追ったドキュメンタリー映画。コレクションまで8週間というタイトスケジュールは、オートクチュールも変わらなかった。

 

ミニマリストと言われ、オートクチュールとは対極の位置にいたラフ・シモンズであるが、自身のメンズブランドを1995年に設立し、96、97、98年のコレクションは話題となった。その頃、私は、メンズデザイナーのアトリエでパターンを引いていたが、当時のタイトでシンプルな細身のジャケットは、ラフ・シモンズの影響だったと振り返る。

 

映画は、ディオール社の最上階にあるアトリエで、ラフ・シモンズ が初めてお針子たちと顔合わせするところから始まる。彼はベルギー人なのに、フランス語が堪能ではなかったのが意外だった。途中で英語に変えて挨拶したが、そのギクシャクした感じと、引きつった顔、場違いなところに来てしまったという動揺が、こちらにも伝わってきた。「Dior&I」は、すごくよかったので、DVD買おうかな… 

 

彼は、昨年2015年10月に、ディオール、アーティスティック ディレクター退任を発表している。


シャネル

 

 

「表以上に裏が大切。本当の贅沢は裏にある。」これは、シャネルの言葉。シャネルは、30歳の

ときに出逢ったロシアのドミトリー大公から、多くの創作のインスピレーションを得たと言う。ロシア的なものに強く

魅了され、コートの裏地に毛皮を使ったモードは、世界中に大流行する。また、ドレスやスーツの裏地にも、贅沢

過ぎるほどの布地を使い、洋服の裏側に細やかな神経を注いだ。(文中より引用)

 

現代はというと、庶民のジャケットやコートの裏地は、ポリエステルが殆どで、ちょっと良いものだと、キュプラの

裏地が付いているというくらい。私が持っているシルクのジャケットの裏地はポリエステルだった。この場合、

普通キュプラにすると思うけど、コスト的に無理だったのかな…??シルクとポリエステルは、一見似ているように

見えるけど、全然違う。たかが裏地、されど裏地。シルク×ポリエステルの組み合わせはないわ。。

 

学生の頃、授業でジャケットの内ポケットにリクラック、コートの裾裏にルーシングを付ける方法を習った。かなり

面倒くさい作業で、それは単なる装飾、付加価値の一種だったが、今から思うと、昔はかなり贅沢な施しをして

いたものだと感心する。

  

カジュアルなジャケットやコートが定着して随分と経ち、裏なしはバインダー始末かロック始末。裏付きはどんでん

始末で、安いポリエステル裏地。シャネルの時代に比べたら、味も素っ気もなくなった。ファストファッションの台頭で

ファッションのカジュアル化が加速し、消費動向も変化した。それは、当然の成り行きなのかもしれない。

 

今どきの学生に、どこで服を買うかと聞いたところ、『GU!』と、即座に答えてくれた。安くてかわいいからという理由で。

確実に、時代は変化している。私の時代は、デザイナーの名前で買っていたけどなぁ。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャネル 

表地:ツイード 裏地:総ラパンファー毛皮


3DスキニーパンツⅡ

前回、裏毛で作成した3Dスキニーパンツの素材替えです。パターンは同型ですが、こちらには縮率が(-2%)入っています。

ストレッチが入ったデニムの特殊生地で、その総合混率は、ポリエステル48% レーヨン24% アウトラスト24% ポリウレタン4%

です。一応、2WAYですが、よこの伸び率はたての伸び率より小さいです。

 

ウエストはゴム仕様。前中心のレースアップはアバクロのデザインを勝手に頂きました。(大きな声では言えませんがアパレルではよくあること。💦) またパンツの場合は特に、後ろにポケットがあるかないか、あるとしたらどんなポケットをどの位置につけるかで、小尻効果が変わってきます。このポケット問題は、女性にとっては大問題で、最も気にするポイントの一つです。

 

悲しいかな、誰しもが年を取ります。そして、年齢と共にお尻も下がってきて、だんだんと、たて長になってきます。(◞‸◟)若いころのプルンとしたお尻が懐かしい。でも戻したいけど戻らないというジレンマ。そんなときの救世主がポケットなのですね!

我ながら、ポケット位置が絶妙…。(自画自賛。。)

 

このようにパンツの後ポケットは侮れません。男性にとってポケットは、バックの代わりなので強度とか機能性が求められますが、女性にとってポケットは、あくまでも飾りです。パンツに限らず洋服に付いているポケットを積極的に使う女性は少ないのではないでしょうか?何故なら、ポケットに物を詰め込むとシルエットが崩れるからです。女性にとってポケットは大事な飾り、買うときも作るときも特に意識することをお勧めします。 


サイズを変えるスマートトルソー

 

 

6年前に、香港理科大学のAllan Chan (アラン・チャン)准教授によってスタートしたi.Dummyのプロジェクト。専門家が3D

ボディスキャナーを使いアメリカ、ヨーロッパ、日本、中国から、身体に関する膨大な量のデータが集められ、機械工学や

情報工学を融合させたメカトロニクスの技術を応用してつくられた。(サイトより抜粋)

 

それは、一台のトルソーで、どんなサイズにも変更出来るというもので、UK6からUK16サイズ(SサイズからXLサイズ)までの

サイズ変更が出来るという。しかし、プロモーションビデオを見る限りは、肩甲骨や腹部など部分的に厚みを出すことは出来

るようだが、肩傾斜や姿勢などの体型変更は出来ないようである。

 

活用方法としては、グレーディング後のチェックに便利ではあると思う。まぁ、会社に1台、工場に1台あるといいかも知れない。

私はこれまでに多少なりとも、グレーディングの経験はある。しかし、今まで一度もグレーディングチェックをしたことがない。

特にそれを求められなかったからである。

 

これは、かつてのアトリエでの回想になるが、デザイナーはグレーディングしたものについては、あまり興味がなかった。

マスターパターンのチェックは、尋常じゃないくらいに神経質であったが、グレーディングは一切チェックすることはなかった。

 

ここで言っているチェックとは、作成したパターンをシーチングで裁断し、トワル仮縫いをして、フォルムを確認することだ。

要するに、チェックしないというのは、形にすることなくペーパー上で、或はCADならPC上で、パタンナー、若しくはグレー

ダーが処理することで、これは、会社によって異なると思われる。

 

現状のアパレルでは、1サイズ1体型グレードが一般的である。しかし、ヒップ寸法が同じ90㎝でも、外人並にプリンとした

お尻の人もいれば、薄っぺらい平尻の人もいる。このi.Dummyは、それに対応出来るような感じで紹介しているが、実際

のPCコマンドに入力するのは、バスト、ウエスト、ヒップ、背丈だけである。

 

パンツボディの詳細はここでは紹介していないが、恐らく、ウエスト、ヒップ、股上、股下程度の入力であろうと推測する。

もしそうだとすると、どちらも、たったこれだけのサイズ変更で、体型をカバーするというのは不十分ではないだろうか?

グレーディングに特化すればいいとは思うが…

 

 


梟の雨宿り

関係ないけど、カワイイのでリンク貼りました。(´-`).。oO

 

 

 


測地線って?

 

昔のお母さんがよく使っていた、おんぶ紐(=抱っこ紐)です。こんな風に前でクロスしたり、胸の上で結んだりしていました。

私の記憶では、前でクロスが多かったように思います。もちろん、今でもおんぶ紐(=抱っこ紐)を使っているお母さんもいる

でしょうけど、最近では、オシャレなスリングを使っているお母さんをよく見かけます。

 

スリングは、幅広の布をたすき掛けにして、赤ちゃんを包みこむことから「第2の子宮」とも呼ばれていて、赤ちゃんはお母さん

のお腹にいた時と同じような姿勢をキープすることが出来て、抱き心地も良く、近年その人気が高まっているようです。

 

実はこのおんぶ紐(=抱っこ紐)もスリングも、測地線を考慮した構造になっているのです。測地線(そくちせん、geodesics)とは、簡単に言うと、直線の概念を曲がった空間において一般化したもので、曲面上の二点を最短距離で結ぶ曲線として定義

されています。(Wikipediaより)

 

それを考慮することで、着装のくずれ防止、動作のしやすさを見出すことが出来ると言われています。まさに、昔のおんぶ紐

(=抱っこ紐)などは、おばあちゃんの知恵のような感覚で、無意識に考えだされた賜物なのです。

 

 

 

 

実際に測地線を、ボディ上に求めて見ました。衣服製作を考慮して、あえてB.P(バスト・ポイント)は外しています。

しかし、理論上はB.P(バスト・ポイント)を通る線も可能です。見本は有りものを使った為、2.5㎝幅の接着テープを

貼っていますが、実際は1.0㎝幅くらいがベストです。

 

測地線は、ボディ上のどこかに1点を定め、そこからその曲面に沿って、曲面の成り行きに任せ、はわせることに

よって得られます。テープがねじれたり、よれたりしないことが鉄則です。そうすることで方向は自然と定まります。

 

一例として、先に述べたおんぶ紐(抱っこ紐)もそうですが、ワンショルダータイプのドレスやトップスなどのストラップ

位置やその方向を決める際に役立つと思われます。

 

 

 


しわの美学について

 

 

上記は、「本を読むマグダラのマリア」 ロヒール・バン・デル・ウェイデン(左)と「受胎告知」レオナルド・ダ・ビンチ(右)の絵画です。これら、ルネッサンス期の絵画は、衣服のひだやしわの様子が美しく写実的に描かれたものが多いと言われています。

 

現代では、[しわ」というとネガティブなイメージしかありませんが、このように美しい「しわ」というのもあるのです。どちらかというと「しわ」というよりドレープと言った方がいいかも知れません。

 

ドレープとは、衣類などを優雅に纏わせるという意味で、ゆったりとしたひだを入れること。自然にできた布のたるみは、シルエットをより優美に見せることができ、エレガントなドレスなどに用いれられる。(Fashion Pressより)

 

同じ「しわ」でも、先日UPしたスキニーパンツの股付け根付近に出る引かれ皺と、上記のひだorしわは、全く違います。いったい何が違うのでしょうか?絵画の中の「しわ」は美しいけれど、スキニーパンツの引かれ皺は美しくない。

 

スキニーパンツの引かれ皺は、身体とそれを覆う布地とのミスマッチ。両者間の不具合は、確実に、身体にストレスを与えます。しかし、絵画の中のひだ or しわは、たっぷりとした布地の分量感が美しく、布地本来の特徴を如実に表しており、その様からは

身体へのストレスは微塵も感じられません。ストレスなく布地が身体を覆っている状態が作られていると言えます。

 

それは必ずしも、ゆとりの多いルーズな服が良いという意味ではなく、フィットした服においても同じで、身体と布地との距離感、その両者のバランスをどうとるか。皮膚のように人の動きに添ってくれる衣服設計こそが、両者の美しさを引き立てます。バランスがとれてストレスがないものは美しいと思うのです。

 

 

 

 

こちらは、ダ・ビンチの「衣紋習作」と名付けられた、衣皺(いしゅう)のデッサンです。ルネサンス期、美しい衣紋を描く事は画家の力量を示すものでした。この絵は、修業中の20歳前後のダ・ヴィンチが描いたもので、漆喰にひたした布を人体模型に着せて描いたと言われています。非常に美しいですね。

 

                                                        (衣服の幾何学 篠原昭 著 参照)

 

 

 


「個性のない個性」を生かすモデリスト

 

 

この本は、クリエイティブな仕事を現場で支え続ける裏方の職能について──「モデリスト」「モデル」「マーチャンダイザー」

「編集者」「テキスタイル企画」に携わる5人が、これからの日本発信のファッションの在り方を考えるため、その戦略や方法論を語ったものです。(Amazon書籍紹介より)

 

タイトルは、モデリストの新井千栄子さんの言葉です。本書で、新井さんは、あえてモデリストという言葉を使っています。日本では、パタンナーというのが一般的ですが、ご自身の渡仏経験から、パリではパタンナーというと、受け身で仕事をしているイメージがあるので、積極性を持つ存在として、モデリストと名乗っているとのこと。

 

モデリストとして、経験豊富な彼女は、本書ではその役割について、独特な表現を用いて語っています。例えば、「ファッションにおけるミケランジェロ」これは、この世にかたちを生み出すという意味で、モデリストは彫刻家、平面を立体化する職人的芸術家だと彼女は言っています。

 

日本でそのようなモチベーションで仕事をしているパタンナーがどれくらいいるでしょうか。なぜか俗っぽくなりがちな日本のアパレルにおいては、そんなふうに言われることは、私自身小っ恥ずかしい限りです。

 

「マルチリンガルな翻訳者」これは、4つの方向に情報を伝えるという意味で、デザイナー、MD(マーチャンダイザー)、生産管理、縫製工場、4者に対しての翻訳者ということです。これは、よくわかります。確かにそうです。

 

一般の人には、モデリスト(=パタンナー)の存在すら知らない人がほとんどです。認知度の低い職種ですが、ファッションデザインという創造的な仕事は、デザイナーがすべて行っているわけではありません。クリエーションにおいては、デザイナーとモデリスト(=パタンナー)双方の役割は重要かつ不可欠で、両者ともWin-Winの関係なのです。

 

以下は、本書で気づかされたことです。

 

・モデリスト(=パタンナー)は、自身の好みや趣向をもとに仕事をするのではない。

・自分の価値基準が絶対と思ってはいけない。

・人の数だけ価値基準があることを念頭に置いて、常に心を開放しておく必要がある。

・デザインの数だけ技術が必要。

・モデリスト(=パタンナー)は、ホスピタリティの精神を持ち、相手の要望に完璧に応えることが仕事である。

 

 同業者として、心から敬服致します。(。-_-。)

 

 

 


3DスキニーパンツⅠ

 

 

これらのパンツ、海外の某ネットショップからコピペしたものです。いずれも、正規価格が2万円以上、高いものだと7万円もするパンツです。うそでしょ?価格に見合わない品質というか、パターンが最悪。だれがこんなパンツ買うの?日本のファストファッションは、こんなに酷いのはないと思うのだけれど…。昨今のファストファッションの品質は向上しているという印象だったけど…。

 

ところで、先日アナウンスした、スキニーパンツ完成しました!一度失敗して、ちょっと難しいかなと思ったのですが、どうにか

完成!!イイ感じ。。 ボディサイズ及び人体データは、私自身のものを使用しています。

 

生地は綿100%の裏毛、塑性変形しやすい生地のため、パターンは100%のままにしました。あまりピタピタだと、膝が出る

ので…。通常のスキニーパンツには縮率を入れますが、その縮率は、ストレッチのテンション、或は製品洗いをかけるかどうか

によって変わります。次回は、同型で生地を変え、縮率を入れて作ってみようと思います。

 

 

         ↓                 ↓


現代音楽に触れて

 

今日は、ファッションではなく音楽について書きます。ミューザ川崎シンフォニーホールで、

作曲家である私の友人、斉木由美さんの新曲が初演奏されました。パイプオルガンによる

現代作品の演奏は、日本では滅多にない希少価値の高いもの。(受け売りです💦)

 

今日はその演奏を直に聴くことが出来て、ほんとによかった素晴らしかったです!

パイプオルガンだけの演奏というのもシンプルでいいなって思いました。(素人の感想…)

 

もし現代音楽に興味のある方がいらしたら、こちらのCDは如何でしょうか。

(アフェリエイトではないですよ)

 

 

             entomophonie アントモフォニー→

 

             CONFESSION コンフェッション→♪♪

 

 

 私は、アントモフォニーを購入しました。1997年~2007年に作曲・演奏された作品で、

虫の鳴き声をアレンジしたオーケストラ曲です。この虫シリーズは、私にとっても思い出深く、

曲は涼やかで透明感があり面白い曲調です。

 

また、CDジャケットのデザインは、このH.Pのトップページディスクリプションのページにある

イラストを描いてくれたMiwa Yoshiya氏によるものです。

 

今日は、友人ふたりの宣伝になってしまった~

私も頑張ろ(。◕ˇдˇ◕。)/

 


スキニーパンツ

Fashion Pressでスキニーパンツのブランドを探してみると、ディオール オム、ニコラ アンドレア タラリス、ミスシックスティ、

チープマンデイ、アクネ ストゥディオズ、スーパーファイン、ペペジーンズ、デニムデーモンといったブランド名が上がって

きました。なかには知らなかったブランドもあり、スキニーパンツも奥が深いなと。。

 

スキニー=「ほっそりとした、痩せた」という意味ですが、足に皮膚のようにぴったりとフィットしたパンツをスキニーパンツと

呼び、スキニーパンツの中でもスキニージーンズはぴったりとフィットしたジーンズタイプのものを指すとされ、(Fashion Press

より)当然、このスキニーパンツは、ストレートパンツやレギュラーパンツといった、ゆとりの入ったタイプのパンツとはパターン

メーキングも異なります。

 

さらに、ググるとスキニーパンツについて語ってる、面白いサイトを見つけたので貼っておきますね。

http://skinnymaster.info/skinny-brand/

 

スキニーパンツはただ細いだけのパンツにあらず!

 

そうなんです。スキニーって、皮膚のようにぴったりとフィットしたパンツゆえ、2wayストレッチの生地でないと機能性が確保

できない。タイツのようなフィット感をストレッチが入った布帛の生地で形成するのは容易ではない。計算されたパターンメー

キングでなければ難しいと思うのです。

 

そこで私は、3Dのリアル人体ボディを使用して、スキニーパンツの作成を試みることにしました。途中段階なので、まだ実物

をお見せすることは出来ませんが、うまくいったらアップします。剥がすとこんな感じ。↓ ↓ ↓

 

 

 


オールインワン

オールインワン(All in one)という言葉が、いたるところで使われていますが、どういう意味を持つのでしょうか。Wikipediaによると、オールインワンとは、幾つかの物や機能などが一つにまとめられている形態のこと。FASHION PRESSのサイトには、ファッションではボディスーツ、あるいは上下が一続きになった衣服のこと。また、化粧品やヘアケアアイテムでも複数の性能や要素が

1つになっているものに使うと書いてありました。なるほど…

 

では,同じようなアイテムに使われるコンビネゾン、サロペットはどうでしょうか?田中千代服飾辞典によると、コンビネゾンとは

フランス語で、英語ではコンビネーションという。フランスではスリップのことをとくにこうよび、また上下続きの作業服や飛行服

のことも言うとあり、サロペットとは、フランス語で仕事着、うわっぱりのことだそうです。

 

それでは、サロペットとオーバーオールの違いは??Wikipediaによると、salopetteはフランス語で、salope(汚れた、汚い)

から派生した言葉で、仕事で汚れる場合に着るうわっぱりなどの仕事着というのが元々の意味であると書いてありました。

これは田中千代服飾辞典と同じ解釈ですね。

 

オーバーオールはというと、天候の悪いときあるいは、汚れを防ぐために他の衣服の上から着る外衣の総称で、いわゆるうわっぱりなどはこれに含まれるとあり、Wikiでもサロペットとオーバーオールは同義語としていたので、サロペット=オーバーオール

としてよいでしょう。…となるところですが、さらにWikiではこう続けています。

 

服飾界でいうサロペットは「吊り紐が背中で十文字に交差された、胸当て付きの吊りズボン」とされているため、背中が身頃状

に繋がったハイバックスタイルの胸当て付きの吊りズボンはオーバーオールと称されサロペットには分類されないと…

 

ややこしいですね~ ときに服飾用語が間違って使われていたり、メーカーによって様々な呼び名に変えられていたりします。気をつけないと、こうした些細な解釈の違いが混乱を呼び、結局、何がどう違うのかさっぱりわからなくなります。また、こうして

あらためて調べていくと、次々と様々な用語が出てきてきりがないです。最後にロンパースという用語が出てきたので、服飾用

語の説明はこれを最後にするとして…

 

ロンパースとは、幼児の遊び着です。田中千代服飾辞典には、最近は婦人服にもこのタイプのものがあらわれているとありますが、最近といっても、この服飾辞典は初版が1969年ですので、かれこれ47年前になります。ですから、上着とブルーマース(いわゆるブルマー)を続けた遊び着は、今では婦人服でも認められ、幼児に限ったものではないということのようです。婦人服の

デザインバリエーションは、無限に広がっているのですね~

 

因みに服飾辞典は、同文書院出版の田中千代服飾辞典がいいです!手前みそである文化の服飾辞典もありますが、私が

学生のとき、文化より田中千代を勧められ、以来ずっとこれを使っています。

 

以下は、ZARAのオールインワンを参考に、私サイズで、3Dでパターンメーキングして作りました。作ってみてわかったことですが、このデザインは上下がつながっていて、尚且つ、袖もついているためどこにも逃げ道がない。しかも上半身はフィットしている。縦方向の運動量や上下のダーツ位置ダーツ分量などセパレートのときと違って、注意を要します。

 

 

 

 


3Dバーチャルボディについて

画面右のサイドバーにあるバーチャルボディについて、少し説明したいと思います。このサイトでは、これらのバーチャルボディを使用してパターンメーキングを行っています。バーチャル=仮想的という意味ですが、このバーチャルボディは単なるボディの形をしただけの物体というわけではありません。リアルの人体形状型ボディです。

 

リアル=現実的、写実的という意味の通り、実在する人間の人体形状を型どった3Dボディです。上から3番目、トールの痩身体ボディは、私自身の体型データをもとに作成しました。2番目は20代学生被験者のAさん。胸高厚み体ボディです。この二つのボディは下着を付けた状態でゆとりは入っていません。

 

バーチャルボディを作成する為に必要な人体形状データは、通称 “浜ホト”と言われる、三次元人体計測システム ボディラインスキャナー(浜松ホトニクス製)でスキャンして取得しました。スキャンすると対象の計測ライン情報も表示されますが、あくまでも浜ホトは撮影のみで、バーチャルボディを作成することは出来ません。その為、バーチャルボディは、3D機能を搭載したアパレルCADで作成します。見本は、東レACS株式会社のCREACOMPOⅡTorsoを使用しました。

 

一番上のボディは、既存のバーチャルボディを変形させたものです。リアル人体ボディとどう違うのかと言うと、バーチャルボディを変形させる“ボディ変形”は、CADに搭載済のボディを使用して作成するのに対して、リアル人体ボディは、人体形状データをもとに一から作成します。CREACOMPOⅡTorsoには、ACSボディとkiiyaボディがあり、これらのボディにはゆとりが入っています。

 

同様に、一番下のパンツボディも、既存のバーチャルボディを変形させたものですが、これは、私自身の体型データを元に作成しています。このボディを使用したパンツの作図方法なども解説します。自分にあった服作りをする為には、サイズ(=寸法)だけでは限界があります。体型を把握することで、よりフィット性の高い服作りが可能になると考え、これらのバーチャルボディから、3Dを検証することにしました。

 

 

 


シミュレーションについて

 

 

本を買いました。信州大学繊維学部の先生方が執筆された専門書です。その中には、うちの大学院でも講義して下さった、

感性工学がご専門の乾 滋教授も、シミュレーションについて執筆されていました。テクノロジーが発達して久しい昨今、

様々な分野でシミュレーションソフトが開発され、実用化されています。それはアパレル分野においても例外ではありません。

 

現在、私が使用しているアパレルCADは、東レACSの最新機種、クレアコンポⅡですが、同社で最初に、3D機能を搭載した

ソフトは、ひとと(人人人)でした。今は、クレアコンポⅡに移行し、ひとと(人人人)のサービスは終了していますが、2010年に、“ひとと” が発売された当初は、非常に画期的で3Dという新たな機能に衝撃を受けました。この3次元のアパレルCADは、40年以上も前から各社で開発が開始されていましたが、その普及が加速化したのはわずか4~5年くらい前ではなかったかと思います。

 

本によると、アパレルCADなどに見られるシミュレーションは、工学的な意味を持ち、数値的な計算により結果が

導き出されるものとされています。その要素として、対象とするモデル、データ、解法(問題を解く具体的な方法)などがあり計算を実行すると結果が得られるという仕組みになっています。

 

しかし、乾教授はその問題点も指摘しています。シミュレーションのモデルは、複雑な現実を単純化したもので、

現実を反映する為の要因が十分にモデルに組み込まれていなければ、妥当な結果を得ることは難しく「ある程度」

詳しい情報が必要であると述べています。

 

3Dシミュレーションのモデルに、どの程度の要因が組み込まれているのか、各社で明らかにされていないので

わかりませんが、少なくとも、現実を反映する為に必要な要因が、十分であるとは言えないと実感しています。

この「ある程度」という曖昧さが、バーチャルにおける再現の難しさを証明しているようにも思えます。また、

3Dシミュレーションをどのように利用するかでも意見は分かれるのかも知れません。

 

現在の3Dシミュレーションを、パタンナー的観点から評価するならば、再現性という点において、残念ながら、

3Dシミュレーションがトワルチェックの代わりにはなり得ないと考えます。この点について、自らの研究においても

今なお検証中で、私自身の工学的知識が乏しい故、単なるユーザーとしての意見しか言えないことがもどかしいところです。

 

 

 


魔除け-身にまとう祈るこころ-

 

文化学園の服飾博物館で、現在展示されています。2015年12月17日~2016年2月17日まで。

 

 

 

“魔”とは、一般に、人の心を惑わす悪鬼(悪魔)や災いをもたらす魑魅魍魎、人を一事に熱中させるもの(例:

 詩魔)や一事に偏執すること(例:電話魔)などを指す。仏教における「魔」に由来する。(Wikipediaより)

 

 

科学が発達する以前、生命を脅かす目に見えないものを人々は「魔」とみなし、魔を追い払う力や神聖さを保つ力が

あるとされる文様や色、素材を衣服に使用し身にまといました。

 

魔の侵入口と考えられていた衣服の開口部や目の行き届かない背部には、刺繍やビーズなどで結界を築き、耳や

など人間の機能や生命にかかわる大事な部分には、護符の意味を持つアクセサリーを身につけ身の安全を祈りました。

 

 

“結界”とは聖なる領域と俗なる領域を分け、秩序を維持するために区域を限ること。仏教用語。(Wikipediaより)

 

 

それらは、テクノロジーが発達した現代においても、霊、魔、といった科学で証明されない超自然的存在から身を

守る手立てとして現存します。また私たちも、お正月には神社にお参りし、一年の無事を祈願して、縁起物の御札や

お守りを買ったりします。

 

その行為やお守りを身につけることで、安心である、気持ちが落ち着く、といった効果が少なからず得られるから

です。実際にどうかはわかりません。しかし、脈々と続いている儀式のような行い、それが文化として根付いている

ものに関しては、やはり何かしらの意味があり、想いがあると言うことは理解出来ます。

 

ここに展示されているのは、アジア・アフリカ地域を中心とした各民族の服飾に見られる多様な魔除けを紹介しています。

これまで、単なる服飾デザインとして捉えていたものに、意味があり、想いがあったのだと言うことを知ることが出来ました。

 

 

 

 

女性はアクセサリーが好きです。それは、世界共通のことのようです。現代は単にお洒落アイテムとしてファッションの一部

として扱われていますが、かつては、男性に比べて体力の劣る女性は、衣服の開口部にあたる衿ぐりや袖口、裾口などに

飾りを施し、文様の付いた布地をまとい身を守りました。

 

現代のネックレスやブレスレット、アンクレットなどは、かつては女性のお守りアイテムだったわけです。今も、お守りとして

願いを込めて身につけることがあるかも知れません。

 

この衣服の開口部というのは、暑さ、寒さに対する温熱調節を果たす役割を担っています。衣服の機能性と言うことを考え

た場合、非常に重要な部分であり、寒いときは、自ずと開口部のすぼまったものを着て、暑いときは、開口部が大きく開いた

ものを着ていると思います。

 

人間は体温調節がうまく出来ないと、風邪を引いたり、熱中症になったりします。衣服はこの生理機能と運動機能の両方を

果たしていることが重要と言えます。

 

では、衣服の背中側というのはどうでしょうか。自分で目の行き届かない背部に対しては、以外と手を抜きがちで、無頓着

且つ無防備なのではないでしょうか。昔は、そんな油断から“魔”が入るとし、尖った飾りやじゃらじゃら音が鳴るものをぶら

下げていました。確かに、後に目はついていないので、どんな魔物が襲って来るかわからない、そんな恐れがあったので

しょう。現代でも起こり得ることですが…。

 

このように、民族服には様々な意味合いが隠されていて、とりわけ子供や過酷な環境の中で生きる遊牧民の服飾には、

様々な魔除けの表現や護符が見られたそうです。そうして、身の安全と無事を願ったとされています。